2015年11月19日

音の魔術、官能の発見

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全編エキゾチックな『顔』ですが、先週はなんと和のテイストを試しました。
それも、劇中もっともセクシーなシーンで。

受講生さんの中に京都ご出身の男性がいらしたので、例のイケナイ貴公子、
京野精一を京都弁のアクセントで読んでもらったのです。

関西の声音は、女を口説く局面では最強のパワーを発揮しますからね(笑)


 京野失礼ですが、奥さんは土屋三郎君のお姉さんじゃありませんか?
 園子いいえ。
 京野
そうですか。それはどうも・・・。小倉と言うのは僕の友人なんですが、ちょうどその姉さんが土屋という姓になっているという話で思い出したんです。
 園子土屋なんていうのは、ざらにありますわ。
 京野そうでしょうか。でも、姉弟のように似ているというのは、そうざらにはありませんよ。また、失礼かもしれませんが、小倉っていうのは、奥さんそっくりですからね。

気位の高い年上の人妻、園子が京野のペースに絡め取られていくシーン。

「そうですか」の語尾の、ふわっと宙に放り上げるような関西ならではの音が、
するりと猫のようなやわらかさで耳に忍び込んできます。

「それはどうも・・・」の余韻には言葉以上の含みがかもし出され、京都弁独特
のゆったりした間合いが「奥さんそっくりですからね」というセリフに心地よい
粘り気を与えて、園子に対する距離が標準語よりはるかに近く感じられました。

あのアクセントでゆっくり話されると、耳が聴きにいっちゃうんですよね。

なんなんでしょうね、ごく普通の問いかけなのについ従順になってしまうような、
ある種のスリリングさがあって、ちょっとゾクリとする。
あれは不思議な感覚です。


そんな京都の音にしたことで、京野の女馴れしたちょいワル王子ぶりが鮮やかに
なり、壁ドンならぬ壁ジリジリ(笑)といった大人のエロティシズムが匂い立つ
シーンになりましたよ。

京言葉などという雅は、異国の香りがあふれるこのホンにはまったくはまらない
水と油かと思いきや、明らかに違う階層に生きている人物だということまで見え
てきて、作品の奥行きがリアルに感じられたのが面白かったですね〜。

こういうことは、教室ならでは実現できる試みですよね。
他の役も別の地方の言葉に変換したら、また違うものが見えてくるかもしれない。
それ、かなり楽しそう〜♪

先週まではクラスの男女比がくっきり分かれてしまっていたので、土曜昼クラス
はレスボス島のごときたおやかな様相(笑)でしたが、今週から男性が参加され
ますからいよいよ京野と園子のパートに入れますヨ、おたのしみに。


方言というものはセクシーなものです。
標準語のような均し加工がされていない土地の気分・ノリに根ざした言葉なので、
取り繕いがない分だけ官能的なんですね。

お国言葉を持っているのはバイリンガルってことですから、役者には強味ですヨ。
きれいな標準語を話すのと同じぐらい努力して、失わないようにしてくださいね。

くだんの京都弁も、初め標準語モードが残っていた時にはならではのセクシーさ
はまだ出てきていませんでしたから、気分を変える仕掛けが必要なわけで、そこ
でモノを言ったのが体内時計だったわけですね。

役の時計の問題、ね、忘れないで。
自分との間に乖離を感じたら、ひとまず身体で調整しましょう。
スウィングだけじゃないですからね、るいのセリフなどは8ビートや16ビートも
必要ですから、クール後半戦ではその域にも入っていく予定です。

…受講生さんじゃない方々には、何のことやら???ですよネ。
いやいや時には、こうして企業ヒミツもまぶさないとってことで(笑)
ご興味があるかたは、いつでもお気軽に遊びにいらしてください。



さあ、11月も第三週ですか、秋もいよいよ絢爛ですね。

まさかこのホンの話で、和の扉絵を持ってこれるとは思ってなかったけど、
これも受講生さんたちからいただいた、ゆくりなき美しい進歩です。

燃え映ゆる錦の河を、時の舟に乗って、ゆるりとのぼっていきましょう。





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2015年11月10日

こころを預ける。身体で預ける。

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『顔』冬のクルーズが始まりました。

新しいみなさんもおみえになり、教室も新宿三丁目に移って、
おさらい会から続けてすぐとは思えぬ、フレッシュすぎるすべりだしになって、
はぁ〜満足まんぞく(笑)

3つのクラスとも、嘘のように楽しい時間になりました。
というのは、朗読なのに身体を使ったからですね。

はい、今期は身体と声の関係を探ることがテーマの1つです。

朗読って文字だけを追う行為ですが、
それはすべて頭の中で実感を再現していくということであり、
どれだけイマジネーションを働かせられるかが問われるわけで。

これがむずかしい。
想像できている気がしているだけで、
実際には文字を音にしているにすぎないことが、ほとんどなのですねぇ。

こころの温度を声だけで伝える、これは意外に出来ないものです。
というか、語りものは、実はもっともむずかしいジャンルかもしれない。


リーディング公演ってだいたい、稽古時間をかけずに手軽に上演できるもの、
というイメージじゃないかと思うんですが。
芝居の前段階としてあるものというような…私なども以前はそう思っていました。

が、これもしかしたら逆かもしれないなと、このごろは考えるのです。

本来は、造った芝居から身体を削いで声のみで表現するもの、つまり順番が逆、
ぐらいの厚みが、いるものなんじゃないだろうか。
そこを省くから、筋書きだけは分かったけれど…ということになりがちなのかも、
と。

まあそうなると、朗読のほうがよっぽど手間がかかることになっちゃうので、
とてもじゃないけど興行に乗せるのは無理ですわね。
でも、ということは、こういう教室ではそれが出来るわけ、ですよ(笑)

実際そこを目指すかどうかはまだ分からないですが、
今回は、相手役とのこころの距離を掴んでもらうワークをやりました。
そうしたら、ええ、もう笑っちゃうほど、それは見事に全員変化しましたよ。

これは面白かったですね〜。
肉体って、やはり侮れないものです。
形が生み出す功能をあらためて再認識できて、個人的にも新鮮でしたが。

体験したご本人が、ご自分の可能性の扉がパーッと開いたのを、
一番感じられたんじゃないかと思います。

顔がとたんに明るくなるんで、見ていても本当に嬉しかったです。
やっぱり、自分で発見していくことが、芸は肝なんですよね。。


初参加のみなさんからは、これまでとはまた違ったリアルをいただけて、
教室には、わ〜とかああーとかの声がしきりに上がりました。

そうして、9月からのメンバーが繰り出す読みからは、
この教室が積み上げてきた解釈の軌跡を体感していただけたようで、
彼らもちょっと誇らしく見えました。

敬意と親愛と。
ここにあるのはそんな往還です。
もうみんな一度で馴染んでしまいました。

それもこれも、新しく参加してくださったみなさんが、
きちんとテキストを読み込んで、このサイトを読んで(笑)
みっちり予習してきてくださった努力のたまものです。

ご自分で打ち出してこられた横書き台本には書き込みがビッシリで、
なんと有り難いことかと、、こころから、
敬服しました。

そうして…うん、おさらい会、やってよかった。
みんな格段に変化していました。
他の人の読みを聴いて、意欲的に盗んだのがちゃんと出てた。
それを今期のクラスで試したい!って気持ちで、みんなキラキラしてた。

そんな彼らですから、新しい出会いはもはや大好物ってことでしょう(笑)
ここに集まる人たちは、みなさん貪欲です。
欲望が、ネ、世界を回していくのですよ。


今週は、さらに“肉迫”していただきますからね、
うふふふ。
相手の力を借りて、きっとまた新しいご自分に出会えます。

たのしく濃密に、まいりましょう!


そうそう、こういう稽古なら途中参加でも全然大丈夫だと気づきました。
予習は必須ですが。

応募条件には、全6回参加できる方とあげましたが、
少しでも多くの方に役にアプローチするこの方法を知っていただきたいので、
どうぞご遠慮なくお申し込みください。
今からでも間に合います-☆





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2015年11月04日

楽園、そして始まる冬のクルーズ

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〜『顔』秋のクルーズ〜 は、先日無事に、目的の波止場に入港できました。

二カ月間の航海の軌跡をみんなで確かめあう、
おさらい会をしたのです。

それはまた、教室の全貌が初めてわかった日でもあり、
なのにいきなり初めましてのメンバーとお手合わせとなった会でもあり(笑)

ドキドキの高揚感であふれつつ、同じ志で結ばれた安心の親密感にも包まれつつの、
とても華やいだ時となって、着いた波止場は楽園でした。
嗚呼、ほんとうによかった。。

全3組で読んだんですけどね。
つまりは自分の役を、他の2人のキャストとしっかり比較することができたわけで、
こういう機会もありそうでないものなので、実際、相当におもしろかったです。

なにより、『顔』って実は随所に可笑しなセリフがあるんですが、
まさかこの一回目のリーディングでそれが出てくるとは思わなかった。
爆笑でしたもの。

来春ぐらいには到達できるかなーという予測でしたから、
これは今から先が楽しみになりました。

どの役も通しで読むのはほぼ初めて、という緊張する状況でもあったので、
いやがおうにもその人の本質的な素のようなものが見える、
というのもまた、スリリングかつエキサイティングで、
きれいで緊密な空気のおさらい会でもありました。

ことに、年代が上の方々の読みは、技術などの以前に人生の味が、
ほうっておいても湧き出るので、それはもう個性的で。
あのリアルには敵いません。
役づくりって何なんだろうなあ、なんて根本的な問いを投げかけられましたねぇ。

一方で若い人たちの読みは、必死のエネルギーを全身でぶつけてくる感じで、
え、稽古でやったのとぜんぜん違うじゃん!という良い意味での裏切りを、
ほとんど火事場の馬鹿ぢからの様相で(笑)いっぱい見せてくれて、
いや〜これも面白かったです、強烈にフレッシュでした。

うちの江頭一晃も、ブログにおさらい会のことを書いてくれましたヨ。

蓋を開けてみたら金土と連チャンで参加し続けてくれたエガちゃん、
あたたかい援護射撃、ほんとにありがとう!


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秋のクルーズのクルーたち。リッチにバラエティに富んでます。
ピースの彼がエガちゃん。うちの伊東センセイ(あたまがプードル・笑)も聴きにきてくれました。

お仕事の関係で直前に船を降りられた方々もいらして、残念だったんですが、
どうぞいつでも気軽に帰ってきてくださいね。
〇〇さんはどうしたんですか?ってみんな気にかけてる、もはや仲間ですから。

そうそう、締め切りの関係でおさらい会へのご参加がかなわなかった漫画家さんが、
解釈をつづけてこの作品の‘本読み教室流物語’を発見したことで、
『顔』、こんなに面白かったとは、、イラストを描いてみたくなっちゃった、
とおっしゃってらして。

描いてください〜、ぜひぜひ。
みなさんのスーベニールとも、冬のクルーズのお守りともなってくれますもの。

そう、この二ヶ月の航海でみつかったみなさんそれぞれの特性は、
次に始まる冬のクルーズの海図になるのです。

もう今週末からですね。
時代をひとつ進めて、みっちりじっくり手を入れていきましょうね。


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おさらい会後のおたのしみ懇親会、というか打ち上げ。
地方の仕事から駆けつけてくれたうちのベテラン小林が、
我慢できず‘男’を初見読みしたらとんでもないことになって一同爆笑の図。

とにもかくにも、みなさんがとっても楽しんでくださって、
ほとんどの方に継続を申し出ていただけたので、ホッと、というかもうドッと、
安堵しました。

そうして打ち上げのあとに、私は独りで稽古場に残りました。
いただいた幸せの余韻を噛みしめながら、時間をかけてお掃除して、
始発で帰りました。

が、週末からの冬のクルーズに向けて、すでに緊張はマックス、
心地よいお疲れモードに浸っているばやいじゃナイナイ(笑)

新しく乗船されるみなさんも、たくさんいらっしゃいますからネ!

キャリアをお持ちの方も多いので、おたがいかなり刺激になると思います。
またみんなで佳い旅になるといいですね〜。
私も励みます。

…次の航海では、ちょっと枠にとらわれない実験的なことをしようと思ってます。

ある部分では、本読みももっと深めていくことになります。
解釈を実践に結びつける旅が始まる、という感じですね。


二ヶ月間、おつかれさまでした。
そして、はじめまして。

解釈って面白い。
表現って本当に楽しい。

この喜びを、少しでも多くのみなさんと分かち合いたい。。
メンバーはみんな、同じ思いです。

あまりの楽園ぶりに、土曜の夜のクラスを増設しました。

もったいないので締め切りは作らないことにします。
一度ぜひ覗きにきてください。


あらためまして、みなさん、どうぞよろしくお願いいたします。





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posted by RYOKO at 00:00| Comment(2) | TrackBack(0) | 『顔』を読む! | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする