2016年01月25日

『芝浜』 第二回:江戸に迫る

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第二回は、柳家さん喬師匠の書き起こしテキストを読みました。

台本は志ん朝さんの半分の厚みしかなく、
噺も動画で聴くと30分もかからずに終えてらっしゃるのですが、
テンポはむしろ倍ぐらいにゆっくり。

実際に読んでみたら、話がパンパンと進んで凄い急展開をしていくんですね。
ヘアピンカーブの連続とでも申しましょうか。

これは、スイッチをしっかり利かせて、緩急の山をしっかり自覚的に作っていかないと、
筋さえ伝わらないものになってしまう。。
難しいホンです。

芝居をしていても観ていてもいつも思うのですが、「山」 というものは本当に大事。
自分の役でも芝居全体でも、山をみつけてそこに向かってそこを立てようとすることが、
何よりの肝です。

解釈というのは、構成全体の中からこの山を探し出すことなのですね。

『芝浜』 の山は二つ、騙しとバラシです。
どちらもリードを取っているのは女房ですが、これが成立するのは、
ひとえに勝五郎のキャラクターあってこそ。
現実を夢だと言いくるめられてしまう人物像を、嘘なく描けるかどうかが肝なんでしょうね。

まあ、今は全員で少しずつ回して読んでいるので、
こまかな表現テクニックが中心の講座になっていますが、期間を延長しましたからネ、
この2本の落語作品のどちらかを、それぞれが通しで読みきることが目標です。

さん喬版は、“ドラマティック”には欠かせない、大胆さ・骨太さが身につくと思います。

志ん朝版は、繊細になめらかに、気づいたらお客さんも手の上で転がされていた、
というようなスライドの妙を学ぶに絶好のホンだと感じます。

どちらも、演じ手にとっては、ノドから手が出るほど欲しい魔法です。

同じお話なのに真逆の向き合い方を打ち出せる、やっぱり『芝浜』は名作なんですね、
観客にとっても演者にとっても。

今季はぜひ、おうちでも作品に触れる時間を増やしていただきたいです。
落語は成果が分かりやすいので、予習復習をしただけすぐに力になっていきますヨ。

声に出して、本気で騙される自分、本気で騙す自分をみつけていってほしいです。


(笑)そうそう先週は、ひとつ面白いことを発見しました。

今、『ロミオとジュリエット』 の講座も始まったのですが、
特に女子に男性のセリフを喋らせると、うまいんですよこれが、
翻訳ものならではの硬いセリフに、品格と男気と切れ味まで出してきて、
みんな異様にかっこいい。

ところが、『芝浜』 になると、とたんに四苦八苦、というか、どどどうしたおい?
とツッコミが入るほどの七転八倒ぶりなんですね。

「に言ってやんでィ、っとにもゥ」 のような独特の表記に振り回されるということも、
確かにあるのですが、『ロミジュリ』 のほうがむずかしく硬い言葉遣いだったりするのに、
ここは難なくクリアできてるこの不思議。(笑)

これ、たぶんね、
若い人たちは、『ロミジュリ』 はアニメの感覚で読めるんだと思うんです。
男たちの壮大な戦い、みたいなものに感応しやすいというか、慣れていて、
イメージがパーッと広がるんでしょうね。

一方で和もの、商いだの朝湯だの、飲む打つ買うだのメシがどうした銭がどうした、
というこまごました庶民の人情噺には、
本当に馴染みがないんだなあと、これはちょっとビックリしました。

世代間格差というか、大げさでなくこの国の文化の断層を実感したです、ホントに。

私より上の世代の受講生さんたちは、落語はもうお手の物なんですよね、
みなさん上手いですヨ〜。

hamashiba.jpg
 お一人などは、
 実は芝浜の女房を演ったことがあった、
 なんて発覚したりして。

 そうそう、こういうムードですね、
 愛情あふれるまなざしで亭主を支える、
 働き者の女房。

 この道20年のベテラン、浜三喜子さんです。
 真っ先にご応募くださった、
 『顔』 クラスの頼れるリーダーです。

アニメのおかげでイマジネイションを広げる術を持てているなら、それは強みでもあります。
絶対ほかへの応用もできますからね。

逆にまた、慣れているものは 「きれいな鋳型」 にハマりやすくなるので、
その罠は誰もが自覚しなくちゃいけないところでもあるわけですが。

きれいに読めるということと、よく伝わってくるということはまったく別のことで。

ゲストで来ていたリブレ主宰の読みは、マジもんのアル中を疑う迷走っぷりで、
江戸っ子でもなければ魚屋でもありませんでしたが、とにもかくにも爆笑でしたもんね。
みんなが大笑いしたのは、ぇえええ〜? と困り果てた心情が伝わったからですよね。

まずは本気があること。
どこからどこまで。

やっぱりこれが表現の原点ですね。


扉の絵は、男になってからの勝五郎さんって感じですね、おかみさんが幸せそう。
『芝浜』 となるとこういう絵を探して塗り絵するのが、このごろの頭休めのマイブームです。

この絵の魚屋さんのキリッと安定の面差しが、さん喬さんの勝五郎にはピッタリだなと。
そうそう、さん喬さんてば、
やっぱりあの声にメロメロになってる女性ファンが多いんですって。

末廣亭までは3分のご近所ですからね、教室の女子隊でぜったい迫りにいかなくちゃ、
さん喬さんに、、ではなく江戸にね、江戸に。(笑)







posted by RYOKO at 00:00| Comment(4) | TrackBack(0) | 新春特別企画 『芝浜』 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
時を経て同じ役に出会えた!
あの時は台本をもらって一カ月で本番。
必死で台詞入れて、夢中で稽古して、作品全体の世界観まで気持ちがまわりませんでした。
今は芝浜を楽しんでいます。
Posted by 浜三喜子 at 2016年01月25日 21:49
演じる人によって落語はこんなに違くなるんだとビックリしました!今までは何となくですが敷居が高くて入れないイメージでしたが、この機会にずんずん入っちゃおうと思います!ぜひ皆さんで末廣亭に行きましょう!

ロミジュリは言葉は難しいですが、読んでいて楽しいです!確かに王家とかが出てくるようなアニメに近い感じがします!だから読んでいて楽しいのかも知れません(笑)

今週も楽しみです!よろしくお願い致します!
Posted by けいか at 2016年01月25日 22:07
浜三喜子さん、コメントありがとうございます。

ヒロイン光臨ですネ。(^o-)-☆
いやいやなかなか、本番稽古で全体を把握するのは至難の業ですよね。
そういうことが出来る脳回路を作るのが、この教室の一義であったりもします。

考えてみれば、フリーの役者さんには再演という体験があまり無いのかもしれないですね。
今はきっと、愛しくなつかしく台本と向かわれていることでしょう。
積み残しの回収、はたまた新たな発見など、
三喜子さんのキャリアの輪郭を濃くできるようなクラスにできたら、嬉しいなあと願っています。

今週もまたよろしくお願いいたします。
Posted by RYOKO at 2016年01月25日 23:02
けいかさん、コメントありがとうございます。

そうなの、落語って人柄や人生観がそのまま出るのねー。
芝居以上に、自分の中の要素を引っ張りだしてきて見せる割合が高い気がします。
歌に近いと思わない?

今季はたまたま和洋の古典に挑むことになったのだけど、
お芝居っておもしろいよね〜、こんなにいろんな世界があるなんてネ。

さっきロコ輔さんとお話しして末廣亭情報をいただきましたよ。
2月10日までの16時から毎日、さん喬さんがご出演なんですって!
これは水曜クラスに絡めてツアー組めるなと、ワクワクの企画がむくむくと…(笑)
あたしも寄席初体験です、行こうね♪
Posted by RYOKO at 2016年01月25日 23:12
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