2016年11月30日

たちきり、立ち来る、ご縁の香

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今季は、古典落語の『たちきり』と岸田國士の『驟雨』という2作品をテキストにしています。

『たちきり』は、元々は上方のお噺で、
たちきれ、たちぎれ線香などのお題で呼ばれることもあります。

お座敷に上がった芸者さんの就労時間を(なんと野暮な言い回し笑)
昔はお線香一本が燃え尽きて断ち切れるまでとしていた、
ここが味噌になってのタイトルです。

大店の若旦那と娘芸者こいとの、悲恋物語。

なのだけれど、
それに止まらぬ江戸の人々のあったかくも厳しい人情の交錯が描かれているので、
若旦那が大人になるための成長物語とも言えますし、
この国ならではの無常の物語とも言えましょう。

可笑しかったのが、初見読みの時で。

落語と聞いて、初めはみんなセオリー通り面白おかしくテンポも早く読んでいたのですが、
話の後半戦に入ったらいきなり、「あ、あら?…ちがった?」
という部分と出くわすことになって、キキーッと急速減速、
口調もしっとりしたものへの大転換をはからねばならないことになり、
読み終えて、「こんな話だったのかぁ!!」と反省のるつぼに放り込まれたことで。(笑)

そう、このお話には前半と後半でもの凄い断層があるのです。
そのへんが、悲恋ということと相まって『ロミオとジュリエット』を思い出させるんですよね。

あの本も、この春にしっかり取り組んでみたら実は前半喜劇だった、
と知ってたまげたものでしたが、
『たちきり』はその逆のパターンで心揺さぶられることになったわけです。

固定観念は捨ててかからないと、ですね。
何事につけ、ですが、
さらにこの打破が、いつも一番難しいところでもあるわけですが。

この、固定観念の話にも通じるのですが、
先週から、たちきり班は身体を使った距離のエチュードに入りました。

“芝居の動き”ではなく、ミザンも気にしない、
セリフを使った身体のインプロとでも申しましょうか、
本読み教室オリジナルの、リアルの習熟方法です。

これをやると途端に、セリフに目の覚めるような鮮やかな実感がこもることになるのです。
聴いていると進歩が分かって大変おもしろい。
観てても面白いですけどね、たまげてキテレツな動きとか出てくるので(笑)

こういうことも、素直な人は吸収が早いです。

昔、教えを受けた演出家から、役者は作品に向かうたびに赤ちゃんにならなければ、
と言われましたが、頭で自動的に描いている思い込みから、自由でいることを、
我々は常に肝に銘じていなければ、ですね。

この『たちきり』はまた、音曲噺(おんぎょくばなし)というジャンルの落語でもあるそうで。
物語のクライマックスをお三味線が担うことになる、大きな仕掛けが施されています。

落語にもこんな演劇的な演出がされているものがあるとは、
わたしもさん喬師匠の噺を聴いたときは、ゾクゾクーっと全身に鳥肌が立ちました。

師匠、熱演です。

速報でもお知らせしましたが、
おさらい会で、このお三味線『黒髪』を弾いてくださる方にめぐり会うことができました。

東 啓次郎(あずま けいじろう)師匠です。

ネット媒体を使ってのダメ元での募集でした、
私としては、お稽古をされている方のお目に留まれば御の字だったのですが、
まさかお師匠さんクラスの方からご応募いただけるとは。

しかも、もう何度も劇伴で『黒髪』を弾かれておいでで、
こんな些細な教室での発表会を面白がってくださるお人柄でいらっしゃる、
さらにはわざわざ静岡からお運びくださると…

なんと恵まれたご縁をいただけたことでしょう。
啓次郎師匠、本当にありがとうございます。

人の輪というものは、本気が繋げるものなのですねえ。

若いころにはくだらないプライドが邪魔をして人に入っていくことが不得手だった、
でももうこの年齢です、人見知りなんて贅沢なことをやっていられる時間は、無い、
もったいない。

それで、大事なものは自分で取りにいこうと決めたのです。
この教室を始めたこともそうでした。

今こうして、たくさんの受講生さんが集ってきてくださって、みんな楽しげで、
発表会では亜呂波亭ロコ輔さんにも再びご登壇いただけることになり、
またこんなふうに啓次郎師匠との出会いもいただけた。。

ひとつひとつ、おひとりお一人が、本当にいとしいです。

この教室のお線香、ついで継いで、たちきれないように、
お座敷は華やかに香り続いていきますように。

さて、金曜にはもう一本、お線香をたてましょうかね。







posted by RYOKO at 21:00| Comment(2) | TrackBack(0) | 2016秋クラス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
まあ!素敵ですねえ!お師匠さん!
あそこにプロの方のおしゃみの音が・・素敵すぎてどきどきしてしまいます。
あ、それを聞いたら女将やりたくなってきたかも。難しいですけども。


「黒髪」の歌詞も調べたらいろいろな意味を持つようで深い。

はい!大事な物は自分で取りに行く!大賛成!
私も日々心がけております。♪欲しい物は欲しいと言った方が勝ち♪by yuming
それで皆様ともお会いできました。感謝(^^)/
Posted by masako at 2016年12月01日 07:51
masako さん、コメントありがとうございます。

ビックリでしょお?
まさかこんな願ったり叶ったりの方にご参入いただけるとは、
この教室、もしやして演劇の神様に愛でていただけてるか?
なんて調子に乗りそうになります(^ ^;)ゞ

そう『黒髪』、深かったですね〜、
「しんと更けたる」とか「白雪」あたりのダブルミーニング、ね。
思わず小町を連想しちゃいました。
祇園では襟替えの時に舞われる縁起のいい唄なんですって、哀歌なのに。ふしぎ。

『黒髪』が好きな若旦那って、うーんやっぱりナルちゃん入ってる気がしません?(笑)
Posted by RYOKO at 2016年12月02日 03:09
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