2016年12月08日

ゆかし懐かし、ご縁の糸

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秋の講座も一ヶ月を経て、「はじめまして」だったみなさんもすっかりうちとけ合い、
どのクラスもなかなか楽しいことになっています。

『たちきり』はやるたび大笑いというのがデフォルトになってきた感じで、
このところのブーム(笑)は、ちょっとしか登場しない人物の演じ分けです。

月曜クラスでは、丁稚の定吉のセリフに登場する“静岡のおじさん”と“甲府のおじさん”が、
豪気で大雑把な漁師さんになったり、ぼっちで人づきあいの悪い木こりさんになったり、
挙げ句には、おのれ合いの手が忙しないうんうんおじさんが出現したりと、
うら若いお嬢様がたによる大爆笑のおじさん8態が完成しました。

土曜クラスでも、一瞬しか出てこない“若い衆”を距離のエチュードでさぐっているうちに、
見ていた人たちが書かれていない手代さんだのになって、稽古場にわらわらと大発生。
気づけばすっかりお店(おたな)が出来上がっていて、可っ笑しかったです〜。

この晩は、楽しかった!というキラキラのメールが、帰宅したら続いて届いていて、
あら〜!大変うれしうございました。
わたしの力をチャージしてくださるのは、こんなふうに、いつも受講生さんたちです。


一方で、シリアスの進化も止まらず、いい女将さんが続出しています。
この役が本気を出してくれると、場は一気にせつないもらい泣きの渦になります。

この役割は、前半の番頭さんもそうですね。

大店(おおだな)の番頭と、芸者置屋の女将。
表通りと裏通りから、いまだ世間の荒波を知らぬ若旦那を、あたたかく厳しく支える、
大人の二人です。

この二人がいることで、物語は珠玉の人情噺になっているのですね。

思えば『たちきり』は、一瞬しか出てこない人物にも温み(ぬくみ)があります。
どの人たちにも暮らしがあり、どの人たちにも一生懸命がある。
なんといとしい、両国界隈の人々でしょう。


ああ、そうそう、『たちきり』のイメージ曲は、たとえば何だろうという話が出ましたね。
時代劇と言えばの、もはや定番中の定番ですが、やはりこれでしょうか。

蛇足ですが、私が文章を書く時にはいつもこの曲をかけています、鼓舞されていい。(笑)

こんな世界に住む人々と思えば、ずいぶんトーンが違えて感じられないでしょうか。

そして、『たちきり』本来のテーマ曲といえば、地唄 『黒髪』。
この歌詞についてもちらほらと調べるかたが出てきて、その内容にうなっているようです。


黒髪

黒髪の むすぼれたる思ひをば
とけてねた夜の枕こそ
ひとり寝る夜のあだまくら

袖はかたしく
妻じゃと云ふて
愚痴な女ごの心としらで
しんと更けたる鐘の声

ゆふべの夢の 今朝さめて
ゆかし懐かしやるせなや
積るとしらで積る白雪




私も訳してみましたら、これがまたちょっと驚くような内容でございました。



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更けるを老けるに、雪の白さを髪の白さにかけた、大人の哀歌だったのですね。
夢は恋の暗喩でもあります。

若旦那が好きというにはあまりにも渋い。
さらには弾いているのが17歳のこいととなれば、なぜこのチョイス?と思ったのですが…

これ、こいとを亡くした後、ずいぶん歳月が経ってからの若旦那の姿と思うと、
ああー、と、ちょっと鳥肌たちません?

ラストの、「あたしは、生涯、妻と、名の付くものは持たない」という極端な言葉にも、
説得力が生まれてきます。
ああ、本当にこの人はそうしたんだなと。

そう、この若旦那、若いというだけでは済まない、性分の極端を持った人ですよね。

勘当寸前になるほどこいとに夢中になり、
百戦錬磨の女将も疑わないほど恋に誠意をつくし抜き、
蔵に入れられたら、脱出を謀るでもなく百日きちんと勤め上げる。

男性にはこういう、一度にひとつのことしか出来ない人が多いですが、
この性分なら、本当に独身を貫き通したとしてもおかしくない。

そうして今度はその力で、おそらくお店を大きく立派にしたんでしょうね。
子どもがいない分さらに純粋に、自分の仕事に尽くした男になった気がします。

この歌詞を眺めたら、なんだかそんなことが浮かんできました。


おさらい会まであと2週。

なかなか話題に出来ない『驟雨』のほうも、ひたむきな熱い時間が進んでおります。
熱すぎるから話せないのよ(笑)
やはり幸せなことだと、つくづく思っております。

ゆかしく、なつかしく…
どんなご縁が残るでしょう。

遠寺の鐘が鳴るように、泣いても笑っても、今年の教室はあとわずかです。







posted by RYOKO at 23:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 2016秋クラス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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