2016年12月16日

麗しき人生 〜驟雨

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おさらい会まであと二日。
謎のアクトリーディングチーム『驟雨』の稽古も、いよいよ山場に突入です。

動きをつけてのリーディングとするには、5回の稽古では短かすぎて、
メンバーにはずいぶんつらい思いをさせてしまっています。
やっと慣れてきたかというところで、あっというまに一ヶ月が過ぎていました。

が、この土壇場で---実はなんとつい二日前ですが、起死回生の一策がみつかり、
土曜の最後の稽古でそれを試演・完成にもっていこうという、
チャレンジングにもほどがある大転換を図ろうとしているところです。

自宅稽古の海図とするべく、メンバー専用ブログを作って演出プランを載せ、
イメージトレーニングをしてもらっているのですが、
ゆうべは3時ごろまで足跡が残っていました。

深夜の孤独な稽古。
俳優は、実は自宅作業のほうが多い地味な職人なのだということは、
あまり知られていない事実かもしれません。
今日一日が彼ら彼女らの天王山です。

明日の夜は、稽古場には凄まじい集中の嵐が吹き荒れることになるでしょう。
彼らなら、その賭けに足るだけの結果をきっと出すと、
揺るぎなく信じられている幸福が、今、胸に座っています。

がんばって。
鬼の演出ともあと二日でおさらばだから。(笑)

『驟雨』は、青空文庫でも読める岸田國士の代表作です。

なんとも説明のしがたい、よくある日常風景の切り取りでしかないのですが、
実によく出来た話です。
読めば読むほど、これが珠玉の名作と言われるワケがわかります。

おさらい会では、リーディング班にト書き語りも含めた正調の朗読を、
アクトリーディング班にはSE(効果音)やM(音楽)も含めたそのト書きの立体化を、
してもらいます。
同じ作品に異なるアプローチをする試みは、こういう教室ならでは実現できることです。

『たちきり』に三味線の音が欠かせないように、『驟雨』の立体化には雨音が必須です。
しかし、雨は単なるSEなので、これだけではやや雑味が残る印象になるのが気になり、
緩衝材としてM入れをすることにしました。

あったかくて大人のペーソスあふれる芝居のガイド役として、
ぴったりのスタンダードジャズがありましてね。

シナトラやトニー・ベネットのように歌い上げない、不思議な(といっても有名ですけど)
ブロッサム・デイアリーの“THE GOOD LIFE” です。


いつか芝居で使いたいと思っていた伝家の宝刀。(笑)
まさか自分が教室を立ち上げてそこで実現することになるとは、思ってもいませんでした。

この曲のあたたかさに引っ張られて、原作にはないシーンを入れることにしました。
たぶん岸田先生も、微笑んでくださるんじゃないかと思います。

この曲がかかる時は、空間に愛がただよっている時です。
一方通行の、じれったい愛ですけど。
あとになって、この人々の可愛いらしさが思い出されてもらえたら、いいなと思いながら。



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見知らぬもの同士が出会って、いっとき時間を共にし、また散っていく。
その人生はみな麗しい。

稽古場にあるのは、楽しいことよりつらいことの方が多くて。
それはまるで驟雨のようで、一歩も前に進めなくなる、そんな日ばかり。
でも。
だからこそ得られる雨上がりの喜びは、何にも代えがたく、何よりも尊い。

楽しいということの質が変わってしまう。
凄いことだよね。

それを信じて、雨に遭っても驚かないで。
手を取り合って、ひとりにならないで。

The good life.
人生は麗しい。





posted by RYOKO at 09:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 2016秋クラス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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